ブレークタイム・コラム②

     聖書の生きて働く力

「こんな顔でごめんね。」これが、病院にお見舞いに来た人に、彼女がいつも言う言葉でした。神奈川県在住の小野さん(76歳・仮名)は、がんになって以来、笑顔を見せることがなくなってしまいました。病状は日に日に悪化し、心は、死への恐怖と不安でいっぱいでした。小野さんは末期のがん患者として、病院の緩和ケア病棟、いわゆるホスピスに入院しました。

そこで聖書の神はご自身の御子を処女マリアを通して人間とならせてこの世界に送ってくださり十字架に掛けて、私たちの身代わりに罪の罰を受けさせてくださいました。神の御子イエス・キリスト様は、私たちを救うために、十字架で死んで下さいました。ここにまことの愛があります。そしてまことの救いがあります。

ところが同じ病棟に、他の患者たちとは全く違う雰囲気のがん患者が一人いました。右高さん(74歳)というその婦人は、やはり末期のがんで、緩和ケア病棟に入院していました。違う雰囲気と言っても、他の人より元気であるというのではありません。病と闘いながら、病状が悪化していき、つらく苦しいのは変わりありません。けれども、右高さんの顔には、何とも言えない落ち着きがあったのです。

小野さんは右高さんに尋ねました。「あなたはどうしてそんなに安らかなの?」右高さんは答えました。「私はクリスチャンなんです。もしものことがあっても、天国に行けると言う希望があるんですよ。」右高さんの病室には彼女の通う教会の牧師が訪問し、聖書から励ましの言葉を語っていました。「あなたも一度聖書の話を聞いてみませんか?」右高さんにそう言われて、小野さんは話を聞いてみることにしました。

牧師は、聖書からわかりやすく話してくれました。私たち人間に命を与え、生かしておられる神様が存在されること。死は人生の終わりではなく、死の向こうに天国と地獄があること。罪深い私たち人間は、罪の罰を地獄で受けなければならない存在であること。しかし神様は人間を愛してくださり、救い主イエス・キリストをこの世界にお送りくださったこと。キリストが私たちの罪のために、十字架上で身代わりとなって死んでくださったこと。また、墓に葬られた後、死に勝利して復活されたこと。誰でも自分の罪を認め、キリストを信じるなら、罪が赦され、天国に入れて頂くことができ、死に対する勝利者となることを小野さんは病院で初めて聞いたのです。

聖書の話を何度か聞き、小野さんはイエス・キリストを、自分自身の神様、救い主として信じました。するとどうしたことでしょう!彼女の心は罪を赦された喜びと、天国に行くことができると言う希望で満たされたのです。病気になって以来、一度も笑ったことの無かった彼女が笑顔に変わりました。キリストを信じてから、一ヵ月後の六月に、小野さんは喜びと平安の内に召されました。


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